テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 いや、調べる必要もなかったのだ。探られ明るみにされては困る罪を抱える者―左議政こそがすべてを仕組んだ大元であるとは判っていた。しかし、証拠は何もなく、また、左議政ほどの大物を敵に回したい者がいるはずもない。
 それはまた、当時の国王への左議政による牽制の意味もあったに違いない。
―私を甘くご覧になりますと、このような目に遭いますぞ。
 事実として、国王はそれ以降、左議政の罪を暴こうとするのを止めた。当然、左議政による生き残りに対しての追及はあった。明姫は事件の夜、直接、賊を見ているわけではない。が、副官の幼い娘が屋敷内のどこかに潜んでいたのは事実であった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ