身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
たとえ伯母の崔尚宮が明姫を守るために明姫はあの夜、屋敷はいなかったと苦しい嘘をついたとて、それで老獪な左議政を騙しおおせるはずがなかったのだ。
明姫は両親の死後、すべてを失い、祖父母の許に身を寄せた。母の両親が当時はまだ健在であり、そこに引き取られたのである。祖父は現役時代は中級官吏をしていたが、その頃には引退して屋敷で隠居生活を送っていた。
しかし、左議政の追っ手はそこにまで魔手を伸ばしてきた。幼い明姫が人知れず紛れていた偽の女中に首を絞め殺されそうになったのを機に、崔尚宮が明姫を宮中に入れることに決めたのだ。祖父には二人の娘がいて、上が若くして女官となり、大妃付きの尚宮にまで出世した伯母、下が明姫の母であった。
明姫は両親の死後、すべてを失い、祖父母の許に身を寄せた。母の両親が当時はまだ健在であり、そこに引き取られたのである。祖父は現役時代は中級官吏をしていたが、その頃には引退して屋敷で隠居生活を送っていた。
しかし、左議政の追っ手はそこにまで魔手を伸ばしてきた。幼い明姫が人知れず紛れていた偽の女中に首を絞め殺されそうになったのを機に、崔尚宮が明姫を宮中に入れることに決めたのだ。祖父には二人の娘がいて、上が若くして女官となり、大妃付きの尚宮にまで出世した伯母、下が明姫の母であった。