テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第15章 第三話 【観玉寺の廃妃】  再生

 今もしゃがみ込んで棍棒を使っていると、腰が痛むし、蜜壺にも鈍い痛みが残っている。思わず涙が溢れそうになり、明姫は目尻に滲んだ涙を指で拭った。
 彼女の背後では小花が歓んで雪の中を駆け回っている。この淋しがりやの犬はいつも明姫の後をついてくる。お陰で明姫の方も退屈しないで済んだ。
 ユンがここに来ることは二度とないのではないか。そんな気もする。あれだけ手酷い扱いをされても、情けないことに明姫はユンを嫌いになれない。いっそのこと、嫌いになれれば、もう彼が二度と来ないのではと不安に怯えたりしないで済むものを。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ