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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第17章 第四話 【永遠の少女】 波乱

 二度と、そなたを危険な目には遭わせぬ。
 ユンは耳許で囁き、明姫を抱き寄せた。
「それにしても、何ゆえ、罪なきそなたばかりが狙われるのだ」
 ユンの表情も口調もすべてが苦渋に満ちていて、明姫は堪らなかった。自分という存在がユンを、大好きな男を苦しめているという自覚を嫌というほど認識させられていた。
 ふいに、彼女の口から小さな呟きが洩れた。
「この頃、私はよく考えるのです。私は殿下を苦しめるだけの存在なのかもしれないと」
 それはよくよく注意して耳を傾けていなければ聞き落としてしまうほど些細なものだったけれど、ユンが聞き逃すはずもなかった。

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