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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 逢いたくて~恋ごころ~

 脚を何気なく踏み出そうして、明姫は思わず顔をしかめた。
「痛―」
 これもすべては、あの男―ユンのせいである。ユンと町で半日を過ごしたのは、もう数日前になる。あの日、明姫はかなり遅い時間に宮殿に戻ることになった。
 ユンと一緒にいると楽しくて、彼との時間に我を忘れている中に、気がつけば陽暮れどころか夜になっていた。慌てて宮殿に戻ろうとしたものの、途中の色町で客引きの妓生に引っかかったりして、思いの外時間を取られてしまったのである。

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