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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

「もちろんだ。私の子を産んだ温嬪を見捨てるようなことは絶対にない。そなたらは余計な心配をするより、温嬪の身に何事もなきように気を配ってやってくれ」
「はい、畏まりました」
 回りの者すべてが―実家の両親すら判別がつかなくなっている温嬪が唯一、認識できるのが良人である国王であった。 
 ユンは空を仰いだ。夏の陽が眩しい。彼の眼に夏の太陽がぼやけ、ひとすじの涙が頬を流れ落ちる。
 温嬪と関係を持ったのは後にも先にもたった一度きり、しかも明姫を側室として後宮に迎えるために、大妃が出した交換条件として温嬪を抱いた。

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