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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第23章 第二部【身代わりの王妃】 抜け殻

 気まずい沈黙が落ち、後はひたすら前を向いて歩く。ほどなく二人は賑やかな往来を四つ辻で曲がり、人気のない路地に入った。その突き当たりに、それはあった。
「ここだ」
 ユンは言いながら小さな小屋の扉を開けた。それでも十七年前に明姫と来たときは、ちゃんとした家の体裁を保っていたが、寄る年波には彼の〝隠れ家〟は掘っ立て小屋と変わらなくなってしまっていた。
「久しぶりだな」
 ユンは懐かしげに言い、狭い室内をゆるりと見回した。外観はかなり荒れてはいるものの、幸いにも室内は考えたほど痛んではいなかった。これなら雨露も十分凌げるだろうし、少し手入れすれば、また使えそうだ。

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