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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第24章 第二部 【身代わりの王妃】 ひそやかな恋情

「酷い」
 春花は涙に潤んだ眼でユンを見つめた。
「中殿」
 一時の激情と情熱から漸く醒めたユンは茫然として春花を見る。
「中殿、私は」
 言いかけたユンを後に、春花は身を翻した。
「中殿!」
 泣きながら走り去った少女を彼は茫然と見送った。
 春花がいなくなった後も、ユンはいつまでもその場に立ち尽くしていた。何ということをしたのか。いずれ自由の身にしてやると約束しておきながら、自分のしていることは春花を欲望に任せて欲しいままにしようとするばかりだ。

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