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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 そんな明姫だったが、殿舎の前のささやかな庭園に、一杯の桜草が群れ咲いているのを見たときには歓声を上げた。
「もしかして、ユンが桜草を摘んできたのは、ここから?」
 呟き、引き寄せられるように桜草畑に近づいてゆく。夜目にも薄紅色の可憐な花がひっそりと浮き上がって見える。
 と、どこからか夜の深いしじまを縫うように、ひそやかな声が聞こえてきた。
「これは泣き声?」
 明姫は凍り付いた。じっと耳を傾けていると、魂を真っ二つに引き裂かれそうなほど哀しげな泣き声は次第に近づいてくる。
「なに―」
 気丈な彼女もその場に立ちすくんだ。逃げようと思っても、脚がその場に縫い止められたように動かない。

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