テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 まだ菫色の空に浮かんでいる月がはっきりと春花の顔を照らし出した。
 二人が顔を見合わせ、ヒューと下品に口笛を鳴らす。
「何て美人だ。都ひろしといえども、こんな良い女は見たことがない」
「でも、君、そのなりは宮殿の女官だろ。女官が夜中に勝手に色町をほっつき歩いていて良いのかい?」
「―」
 春花は慌てて顔を伏せた。
「そこを通して下さい」
「ねえ、俺たちと一緒に遊ぼうよ?」
「良いところに連れてってやるからさ」
 二人が口々に言うのに、春花は初めて顔を上げて真正面から二人を見た。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ