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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 確か一度昼過ぎに目覚め、空腹を憶えたので、光王がくれた紙包みを開けてみた。揚げパンが二個入っていて、春花はそれを両手で持って、ひと口ずつ囓った。とっくに冷めていたけれど、ほのかな甘さが落ち込んだ心と絶望的な哀しみをほんの少しでも救ってくれた。
 でも、到底一個すべてを食べきることはできなくて、また、そのまま眠ってしまったのだ。そこまでは憶えているが、何故、ここに自分ではない別の人がいるのだろう。そう考えて、春花はハッとした。ここを知っているのは春花の他には王しかいない。

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