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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 春花は小さく首を振った。
「お願いです、許して下さい。私はいやだと何度も申し上げているのに、何故、こんなことをなさるのですか?」
「そなたは望むと望まざるに拘わらず、私の妃となった。それは最早、避けられぬ宿命だ。もし私にそなたを納得させてやれる理由を言えるとしたら、それが妥当な応えだろう」
 許して下さいと、春花はうわ言のように呟きながら手をすり合わせた。
「良い子だから、大人しくしていてくれ」
 先刻とは打って変わった穏やかな―どこか懇願するような声が耳に注がれたかと思うと、視界が反転した。

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