テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第25章 第二部 【身代わりの王妃】  想いのゆくえ

 たとえ去勢した内官とはいえ、若い男であることに変わりはない。
―抱かれた後の春花は怖ろしく艶っぽいからな。
 そんなことを考えてしまうのは、自分がやはり若い妻に完全にイカレしまっているからだろう。春花を連れ戻すのに輿を用意させるのはともかく、黄内官がこのような布まで用意周到に持参していたのは、王が何をするつもりか理解していたに違いない―とは流石に気恥ずかしくて思いたくなかった。
 輿がゆっくりと動き出す。彼は泣き濡れたまま気を失った春花の身体をしっかりと抱き、髪を愛おしげに撫でた。しかし、心は一向に弾まなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ