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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 明姫は哀しげに微笑む。
「そういうわけにはゆかないの。あなたのような部外者には到底信じがたいかもしれないけど、後宮では国王殿下とそれに連なる血筋である王室、王族の方々は絶対なのよ。その王室の歴史を事細かに記した大切な書物を傷つけてしまったのは大罪になるわ。下手をすれば、鞭打ちだけでは済まないのよ」
「馬鹿な」
 ユンは一笑に付した。
「書物一冊と人ひとりの生命など引き替えにはできない。ましてや、人の生命で書物の破損をあがなうなど考えられない」
「ユンはそう言ってくれるけど、残念ながら、見つかれば何らかの形で罰を受けることになるでしょう」

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