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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 しばらく沈黙が漂っていた。ユンは何やら思案に耽っている様子だったが、決然とした表情で言った。
「私から殿下に申し上げておこう」
 明姫が笑う。
「以前から思っていたんだけど、あなたって、そんなに殿下に信頼されているの?」
 たかが集賢殿の一学者にすぎないユンがそこまで国王に信頼を寄せられ、大きな発言権を有しているとは信じがたい。
 と、ユンはまるで子どものように得意げに胸を張った。
「実は、そうなのだ。国王殿下は私を何かと頼りにされている。大切な御事をお決めになるときは、いつもひそかに私をお呼びになり、あれこれと相談されるのだ」

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