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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 ゆえに、大妃が第一王子を殺す必要まではないはずで、しかも確証もない噂の域を出ない話ではあった。が、嫉妬心も烈しい大妃の性格を知る女官たちは、あながち、大妃が先王の御子たちをことごとく根絶やしにせねば気が済まなかったというのもあり得ない話ではないと思っている。
 とにかく、その真実は天のみが知っている。
 ところが、そんな不名誉な噂を立てられるほどに溺愛し、掌中の玉と愛でて育てた肝心の世子は王妃に懐かなかった。あろうことか、先王の寵愛していた側室の一人をまるで母のように姉のように慕い、大妃の許には寄りつきもしない。
 そこで、あの例の騒動―この殿舎にかつて暮らしていた側室が自害するという痛ましい事件が起こったのである。

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