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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「そなたは国王がそれほどに力がないと思っているのだな」
「力の問題じゃない。国王さまにとって大妃さまはこの世でたった一人の母君でしょう。大妃さまにとっても国王さまは可愛い我が子だもの。たとえどれだけ高貴な方であろうと、血の繋がりは濃いものよ。国王殿下は大妃さまに距離を置いて接していらっしゃるけれど、本当はとても親思いのお優しい方だと大殿に仕える女官たちは皆話してる」
「つまり、国王が血の繋がりゆえに大妃さまに強く出られないと?」
 明姫はそれには応えず、笑んだまま続けた。
「ユン、後宮は怖いところね。私、今までは幽霊だとかは信じていなかったのに、今夜、この殿舎でお妃さまのお姿を見てから、少し考えが違ってきたみたい」

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