身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~
「幽霊が怖くなった?」
「私が怖いと思ったのは亡霊ではない。ユン、亡くなった人は時折姿を現すくらいで何もしないけれど、生きている人は違う。私は死者よりも人間が怖いわ」
ユンを見上げる明姫の瞳が潤んだ。黒曜石の瞳が水晶のような露を帯びている。
「怖いの」
繰り返す明姫を見ていたユンの腕が遠慮がちに伸びてくる。今はもう何の戸惑いもなく、明姫はユンの腕に抱かれた。
「何で人間を怖がるんだ? たとえどんなヤツが来ようと、私が明姫を守ってやるから、心配しなくて良い」
ユンの力を帯びた声がこれほど頼もしく聞こえたことはなかった。
「私が怖いと思ったのは亡霊ではない。ユン、亡くなった人は時折姿を現すくらいで何もしないけれど、生きている人は違う。私は死者よりも人間が怖いわ」
ユンを見上げる明姫の瞳が潤んだ。黒曜石の瞳が水晶のような露を帯びている。
「怖いの」
繰り返す明姫を見ていたユンの腕が遠慮がちに伸びてくる。今はもう何の戸惑いもなく、明姫はユンの腕に抱かれた。
「何で人間を怖がるんだ? たとえどんなヤツが来ようと、私が明姫を守ってやるから、心配しなくて良い」
ユンの力を帯びた声がこれほど頼もしく聞こえたことはなかった。