テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

 心底から心配して言ったのに、ユンは笑っている。
「憎らしい男。本気で心配してあげたのに」
「そなたが私の身を案じてくれるのは嬉しいが、それは心配ない。私は国王殿下よりこの上になく頼りにされている忠臣なのだ。ゆえに、ちゃんと殿下にお願いして花を摘む許可を頂いている」
「なんだ、それならそうと早く言えば良いのに。余計な心配して、損しちゃった」
 軽く睨むと、ユンが〝こいつめ、生意気だぞ〟と明姫の頬を人差し指でつついた。
 更にしばらく桜草を眺めていた二人だったが―、ユンの声を合図とするかのように殿舎の前で別れた。
「名残は尽きないが、そなたはそろそろ殿舎に戻った方が良い」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ