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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第3章 第一話【桜草】 逢いたくて~恋ごころ~

「ユン、どうしよう。私、本当にあなたを愛してしまったみたい。どんどん、あなたを好きになる」
 明姫の瞳に新たに涙が滲んだ。涙混じりの呟きは春の夜気に溶けて消えていく。
 見上げた月は、彼と眺めたときは煌々と曇りなく輝いていたのに、今は涙に滲んで朧にぼやけている。
 ユンが消えたのとは反対方向に向かい、明姫もまた緩慢な足取りで戻り始めた。

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