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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

「何と、明姫の婚約者とな」
 祖母の顔が生き生きと輝き始めた。こんなときは、大抵ろくでもない展開になるに決まっている。明姫はもうこの場から逃げ出したいとすら思った。
「それにしても、お祖母さまはお若いですね。私、迂闊にもお祖母さまではなく、お母さまかと勘違いするところでした」
「まっ、年寄りを心にもないお世辞でからかうものではありませんよ」
 口では言いながら、祖母はかなり嬉しそうだ。明姫は頭痛と目眩がしそうになり、額を押さえた。
 確かに祖母は六十前には見えない。男好きのする派手やかな美貌はこの歳になってもさほど衰えておらず、若作りしているせいで四十代といっても通りそうだ。

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