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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 笑った表情は屈託なく、人好きのする明るいものだ。間近で見ると、かなり整った顔立ちをしている。
 膚の色といえば、正直、明姫よりも男の方が白そうだ―、認めるのは若い娘として悔しいが。この男ほど白くて綺麗な膚をしていれば、白粉の世話になどならなくて済みそうではある。と、いささか普段から小麦色の膚を気にしている明姫は考えた。
「本当にごめんなさい。私の方も前が見えていなかったものだから」
 改めて見ると、地面にはまだ数本、桜草が残っている。しかし、いずれも折れたり、花が落ちたりして、到底使い物になりそうにはならなかった。

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