身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
「もしかして、どなたかに差し上げるつもりだったとか?」
余計な詮索かと思ったが、訊かずにはいられなかった。若い男が籠一杯の花を贈る相手といえば、女に決まっている。それくらいは、男女の事に関しては疎いと女官仲間たちから呆れられている明姫にだって想像がつくというものである。
「あ。ああ、まあな」
男は曖昧な笑みで頷いた。先刻のからりと晴れた笑顔とは違う。
明姫の心がチクリと痛んだ。この男が誰か別の女に籠一杯の桜草を贈っている場面を想像すると、何となく面白くない。
馬鹿ね、私にはそんなことを思う権利も資格もないっていうのに。
余計な詮索かと思ったが、訊かずにはいられなかった。若い男が籠一杯の花を贈る相手といえば、女に決まっている。それくらいは、男女の事に関しては疎いと女官仲間たちから呆れられている明姫にだって想像がつくというものである。
「あ。ああ、まあな」
男は曖昧な笑みで頷いた。先刻のからりと晴れた笑顔とは違う。
明姫の心がチクリと痛んだ。この男が誰か別の女に籠一杯の桜草を贈っている場面を想像すると、何となく面白くない。
馬鹿ね、私にはそんなことを思う権利も資格もないっていうのに。