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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 刹那、明姫は我が身の迂闊さを知った。李胤(イ・ユン)、その名が当代の若き国王と同じものであると、どうして思い至らなかったのだろう。
 だが、自分の恋した男がよもやこの国を統べる王であるとなど誰が考える? 平凡な娘、下級女官にすぎない自分の想い人が国王だなんて、誰が信じる?
 私が十五年の人生で初めて好きになった男は、この朝鮮国の王だった―。信じがたい衝撃がやっと哀しい現実として認識できた刹那、明姫の大きな瞳から、はらはらっと涙がこぼれ落ちた。とめどなく溢れる涙は地面を濡らし、黒い滲みを点々と作る。

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