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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第4章 第一話【桜草】 蜜月と裏切り

 二人で寄り添って肩を並べて歩いた都の大通り、隠れ家で、まるで無邪気な子どものように膝枕をねだってきたユンの屈託ない笑顔。更に人気のない殿舎で明姫を情熱的に求めてきた彼の熱っぽい視線や明姫の身体中をまさぐった悪戯な指。
 それらの彼との大切な想い出の一つ一つが物凄い速さで甦り、遠ざかってゆく。
―私は生涯かけて、そなただけを愛し守り抜くよ。
 耳許で力強く響いたユンの声。真摯な表情で告げた誓いの言葉もすべては偽りにすぎなかったというのだろうか。

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