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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

 別離という選択

 王は先刻から何度繰り返してきたか判らない科白をまた口にした。
「母上、明姫のどこが気に入らないと仰せなのですか? その理由を教えて下さい」
 だが、大妃は頑なに唇を引き結び、王の方を見ようともしない。王はひそかに溜息をついた。
 この日の朝、王―ユンは大妃殿を訪ねた。国王が母を訪ねてくることなど、極めて珍しい。最初に王の訪問を尚宮から告げられた時、とても嬉しそうに見えた。実際、彼が明姫を側室として迎えるという話を切り出すまでは終始、機嫌が良かったのだ。

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