身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
―宮廷女官ともあろう者が下賤な者どものように舌を出すなどと、見苦しい。
見つかる度に叱責されるのに、いまだに気を緩めると出てしまう。
たとえ伯母と姪の間柄であろうが、謹厳実直を自他共にもって任ずる崔尚宮には関係のない話なのだ。そう、上司である崔尚宮は明姫にとっては血の繋がった伯母である。両親もいない今、天涯孤独の明姫にとっては、この世で数少ない肉親なのだ。
明姫の父は捕盗庁(ポトチヨン)の副官だった。長官である従事(チヨンサ)官に準ずる役職である。が、父修基(スンギ)は明姫が六歳の冬に亡くなった。いや、父だけではない、母の玉彩(オクチェ)も同時に亡くなった。
見つかる度に叱責されるのに、いまだに気を緩めると出てしまう。
たとえ伯母と姪の間柄であろうが、謹厳実直を自他共にもって任ずる崔尚宮には関係のない話なのだ。そう、上司である崔尚宮は明姫にとっては血の繋がった伯母である。両親もいない今、天涯孤独の明姫にとっては、この世で数少ない肉親なのだ。
明姫の父は捕盗庁(ポトチヨン)の副官だった。長官である従事(チヨンサ)官に準ずる役職である。が、父修基(スンギ)は明姫が六歳の冬に亡くなった。いや、父だけではない、母の玉彩(オクチェ)も同時に亡くなった。