身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
そこに女官が血相変えてやってきて、孔淑媛の自害を伝えた。あのときの良人の冷たい視線を彼女は生涯忘れないだろう。まるで汚らわしく厭わしいものでも見るかのような冷え冷えとしたまざしが全身に突き刺さるようだった。
国王は大妃を余計に刺激してはまずいと知らないふりをしていたのだが、実は大妃が孔淑媛を中宮殿に呼びつけて鞭打ちの刑を与えたことを知っていたのだ。更に、それが原因で流産したことも。
嫉妬深く気位の高い妻には愛想が尽きていたが、捨て置けばまた孔淑媛や他の寵妃たちに対して何をしでかすか判らない。だから、その日は妻の機嫌取りもあって中宮殿を訪れたのだ。
国王は大妃を余計に刺激してはまずいと知らないふりをしていたのだが、実は大妃が孔淑媛を中宮殿に呼びつけて鞭打ちの刑を与えたことを知っていたのだ。更に、それが原因で流産したことも。
嫉妬深く気位の高い妻には愛想が尽きていたが、捨て置けばまた孔淑媛や他の寵妃たちに対して何をしでかすか判らない。だから、その日は妻の機嫌取りもあって中宮殿を訪れたのだ。