身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
また後宮を束ねる者として、大妃さまと国王殿下母子の御仲がこれ以上、悪化するのを見過ごすわけにもゆかない。その原因たるそなたをこのまま後宮にいさせるわけにはゆかないのだ。酷いことを言うようだが、ここは聞き分けて身を退いてくれ」
「私―」
何か言おうとすると、涙がこぼれ落ちそうになる。明姫が何も言えないでいると、女官長は優しい声音で続けた。
「殿御をお慕いする女の気持ちに、身分は関係ない。私はそなたが欲得や計算づくで殿下に近づいたのではないと判っている。だが、後宮では、そのような見方をする者の方が少なかろう。
「私―」
何か言おうとすると、涙がこぼれ落ちそうになる。明姫が何も言えないでいると、女官長は優しい声音で続けた。
「殿御をお慕いする女の気持ちに、身分は関係ない。私はそなたが欲得や計算づくで殿下に近づいたのではないと判っている。だが、後宮では、そのような見方をする者の方が少なかろう。