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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

私もかつてはこの上なく高貴なるお方を心から恋い慕い、その恩寵を何度かは賜った身だ。そなたがお若く凛々しい国王さまをお慕いする恋心はよく判る。女官長とはいえ、その上で愛し合っている若い人たちを引き離さなければならないのは辛いことだ」
「―」
 明姫は絶句し、唇を噛みしめた。堪え切れなかった涙がひと雫ポトリと床に落ちた。
「一つだけお訊ねしてもよろしいでしょうか?」
「何なりと」
「提調尚宮さまは何故、心からお慕いした方とご一緒に歩く道を選ばれなかったのですか?」

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