身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
日がな、まるで逢えない恋人を見つめるように愛おしげに桜草ばかり見ていてね。あんなに見つめては桜草が恥ずかしがって紅くなるんじゃないかと思うくらいに、それはもう熱心に」
「桜草―ですか」
そのときだけ、ユンの声が心なしか切なさを帯びた。
「もう行ってもよろしいのよ。こんなお婆ちゃんの顔をわざわざ見にきたわけでも、占いがして欲しくて来たわけでもないのでしょう」
どうやら、ユンの心が既に庭に向かっているのをクヒャンはお見通しのようである。
「桜草―ですか」
そのときだけ、ユンの声が心なしか切なさを帯びた。
「もう行ってもよろしいのよ。こんなお婆ちゃんの顔をわざわざ見にきたわけでも、占いがして欲しくて来たわけでもないのでしょう」
どうやら、ユンの心が既に庭に向かっているのをクヒャンはお見通しのようである。