身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
「それとも」
ユンの声が吐息のようにか細くなり、艶を帯びた。
「それとも、お祖母さまにお願いして、この屋敷のどこかの部屋を貸していただこうか? 今、ここですぐにそなたを私のものにしてしまえば、そなたはもう抗いようもないんだ。既に明姫には王命が出ている。宮殿を出てくる前、私は承旨を呼んで新しい側室を迎えることを内外に公表するよう指示を出してきた。そなたはもう、淑媛に任ぜられた、れっきとした王の妃なんだ」
「―!」
自分が淑媛、王の側室? 俄には信じられないことだが、王であるユン自身が言うのなら間違いはないのかもしれない。
ユンの声が吐息のようにか細くなり、艶を帯びた。
「それとも、お祖母さまにお願いして、この屋敷のどこかの部屋を貸していただこうか? 今、ここですぐにそなたを私のものにしてしまえば、そなたはもう抗いようもないんだ。既に明姫には王命が出ている。宮殿を出てくる前、私は承旨を呼んで新しい側室を迎えることを内外に公表するよう指示を出してきた。そなたはもう、淑媛に任ぜられた、れっきとした王の妃なんだ」
「―!」
自分が淑媛、王の側室? 俄には信じられないことだが、王であるユン自身が言うのなら間違いはないのかもしれない。