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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第5章 第一話【桜草】 別離という選択

「明姫、私の眼を見て。もう一度だけ訊く。本当に私を嫌いになってしまったのか?」
 明姫はおずおずと眼を開いた。烈しさを宿したユンの瞳の底に蒼白い焔が燃えている。
 そのまなざしの烈しさに。真剣さに。
 また今日、新たに恋しそうになる。
 こんな真摯な瞳で語りかけてくる男に嘘は言えない。彼にここまで情熱的に求められることが嬉しくないはずがないのだ。
 何故なら、明姫もまた彼を心から愛し求めてやまないから。
 明姫は負けた。彼の一途に自分を求めてくれるその愛の烈しさに。

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