身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
二日後の昼下がり、明姫は漢陽(ハニャン)の町中にいた。
―そなたもやたら若い身で狭苦しい宮殿にばかりいては、息が詰まろう。少し息抜きでもしてくるが良い。外の新鮮な空気でも吸えば、また心も変わってお勤めにも精が出よう。再々、あのような愚かな粗相をしてくれては、こちらの身が保たぬゆえな。
崔尚宮はそう言って、そっと巾着に入った小遣いを渡してくれた。厳しいとはいえ、こういうところは、やはり血の繋がった伯母である。
町の賑わいはいつもながら、眼を瞠るばかりだ。道の両脇には様々な店が軒を連ね、中には露店もある。蒸したての饅頭の食欲をそそる匂いが流れ、四つ辻で大道芸を披露している旅芸人の一座を囲み、見物人から歓声が上がっている。
―そなたもやたら若い身で狭苦しい宮殿にばかりいては、息が詰まろう。少し息抜きでもしてくるが良い。外の新鮮な空気でも吸えば、また心も変わってお勤めにも精が出よう。再々、あのような愚かな粗相をしてくれては、こちらの身が保たぬゆえな。
崔尚宮はそう言って、そっと巾着に入った小遣いを渡してくれた。厳しいとはいえ、こういうところは、やはり血の繋がった伯母である。
町の賑わいはいつもながら、眼を瞠るばかりだ。道の両脇には様々な店が軒を連ね、中には露店もある。蒸したての饅頭の食欲をそそる匂いが流れ、四つ辻で大道芸を披露している旅芸人の一座を囲み、見物人から歓声が上がっている。