身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第5章 第一話【桜草】 別離という選択
「私が九年前の火事の話をしたときのことを憶えているか?」
「はい。憶えております」
ユンと初めて二人だけで過ごした日のことを忘れるはずもない。あの日、町へ出た時、両班の若者に絡まれていた明姫をユンが助けてくれた。あの後、二人でユンの隠れ家に行き、色々な話をし、彼の複雑で痛ましい生い立ちも知った。
確かにあの時、九年前の火事の話が出たはずだ。
ユンが明姫から渋々手を放し、上半身を起こした。武芸はあまりたしなまない王だと聞いていたが、服を脱いだ彼の身体はほどよく引き締まっている。逞しいというほどではないかもしれないが、筋肉はそこそこついていた。
「はい。憶えております」
ユンと初めて二人だけで過ごした日のことを忘れるはずもない。あの日、町へ出た時、両班の若者に絡まれていた明姫をユンが助けてくれた。あの後、二人でユンの隠れ家に行き、色々な話をし、彼の複雑で痛ましい生い立ちも知った。
確かにあの時、九年前の火事の話が出たはずだ。
ユンが明姫から渋々手を放し、上半身を起こした。武芸はあまりたしなまない王だと聞いていたが、服を脱いだ彼の身体はほどよく引き締まっている。逞しいというほどではないかもしれないが、筋肉はそこそこついていた。