身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
明姫はぶつかった相手に軽く頭を下げ、そのまま行き過ぎようとした。が、ふいに前方を通せんぼされ、唖然として相手を見上げた。
「お嬢さん(アガツシ)、どこの令嬢かは知らないが、生憎とこの服は仕立て下ろしたばかりでな。ほら、たった今、そなたがぶつかったところがこのように汚れておる」
明姫は眼をこらして見たが、男が指し示した袖の上方には小さな汚れ一つもない。
「先ほどの失礼は丁重にお詫び申し上げました。見たところ、そちらさまのお召しものには目立った汚れはないようです。この上、私に何をお望みなのでしょう?」
相手の男は両班らしい。年の頃は二十歳前後、黄金の派手なパジチョゴリを着ているが、貧相なニキビ面にはまったく似合っていない。まるで気取り返ったガチョウみたいで、滑稽そのもの。
「お嬢さん(アガツシ)、どこの令嬢かは知らないが、生憎とこの服は仕立て下ろしたばかりでな。ほら、たった今、そなたがぶつかったところがこのように汚れておる」
明姫は眼をこらして見たが、男が指し示した袖の上方には小さな汚れ一つもない。
「先ほどの失礼は丁重にお詫び申し上げました。見たところ、そちらさまのお召しものには目立った汚れはないようです。この上、私に何をお望みなのでしょう?」
相手の男は両班らしい。年の頃は二十歳前後、黄金の派手なパジチョゴリを着ているが、貧相なニキビ面にはまったく似合っていない。まるで気取り返ったガチョウみたいで、滑稽そのもの。