テキストサイズ

身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 それでも、本人は様になっていると粋がっているのだろう。明姫は呆れて男を眺めていたが、堪え切れず吹き出してしまった。
「何がおかしい? 貴様、小娘の癖に両班を馬鹿にするのか?」
 〝来いっ〟といきなり強く手首を掴まれ、引っ張られ、明姫は悲鳴を上げた。
「何をするのですか!」
 手首を掴まれたかと思えば、次は抱き上げられた。
「離して、何をするの、いやっ」
 明姫は渾身の力で暴れる。
「大人しくしろ、どうせ親の眼を盗んで昼日中から伴も連れずに町中をふらつく不良娘だろうが。俺が良いところに連れてってやるからさ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ