身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢
明姫は元々、両班の息女であった。父は捕盗庁(ポトチヨン)の副官をしており、先代国王の信頼も厚い武官であったものの、謀殺された。両親を初めとする大切な人たちすべてを理不尽に奪われたあの夜を明姫はいまだに忘れられない。
屋敷をすっぽりと包み込んだ燃え盛る焔、逃げ惑う使用人たちの悲鳴と怒号。幼い明姫の前で閃いた白刃に倒れ伏した両親の最期や、まだ乳飲み子であった弟の口を塞いだ大きな男の手。
あの夜を境に、明姫は何もかもを失った。当時、明姫の父は捕盗庁の従事(チヨンサ)官(長官)と共に王命によって左議政(チャイジョン)の悪事を探っていた。その極秘調査中に、左議政の手の者が屋敷に侵入し、両親や使用人を惨殺し屋敷に火を放ったのだ。
屋敷をすっぽりと包み込んだ燃え盛る焔、逃げ惑う使用人たちの悲鳴と怒号。幼い明姫の前で閃いた白刃に倒れ伏した両親の最期や、まだ乳飲み子であった弟の口を塞いだ大きな男の手。
あの夜を境に、明姫は何もかもを失った。当時、明姫の父は捕盗庁の従事(チヨンサ)官(長官)と共に王命によって左議政(チャイジョン)の悪事を探っていた。その極秘調査中に、左議政の手の者が屋敷に侵入し、両親や使用人を惨殺し屋敷に火を放ったのだ。