身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢
化粧の後はヒャンダンに手伝って貰って衣装を着て、これで漸く朝の身支度が終わった。上衣の前紐にノリゲを結びながら、ヒャンダンが笑う。
「殿下はこれまでにも数え切れないほどの高価なノリゲを淑媛さまに下さいましたのに、何故、いつもこのノリゲばかりなのですか?」
明姫はたった今、つけたばかりのノリゲに愛おしげに触れた。それは灰簾石(タンザナイト)のノリゲだ。ユヌが明姫と知り合ってまもなくの頃、下町の露店で買い求め贈ってくれたものである。
「殿下はこれまでにも数え切れないほどの高価なノリゲを淑媛さまに下さいましたのに、何故、いつもこのノリゲばかりなのですか?」
明姫はたった今、つけたばかりのノリゲに愛おしげに触れた。それは灰簾石(タンザナイト)のノリゲだ。ユヌが明姫と知り合ってまもなくの頃、下町の露店で買い求め贈ってくれたものである。