身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢
「もう! 知らない」
明姫が真っ赤になってあらぬ方を向くのに、ヒャンダンはまるで友達時代と変わらないように声を上げて笑うのだった。
そのときだった。
ヒャンダンが〝あっ〟と声を上げた。
「どうかしたの?」
「お花が―」
忠実な女官の視線の先を辿り、明姫も思わず声を上げそうになるのを辛うじて堪えた。
部屋の片隅に置いてある飾り棚―、その上の花瓶には百合と桔梗が活けられていた。昨夜、ユン自らが少し得意げに花束を抱えて訪ねてきて、そのときに贈られたものだ。物入れである棚も螺鈿作りならば、清国渡りの青磁の花瓶も精緻な文様が施されている。
明姫が真っ赤になってあらぬ方を向くのに、ヒャンダンはまるで友達時代と変わらないように声を上げて笑うのだった。
そのときだった。
ヒャンダンが〝あっ〟と声を上げた。
「どうかしたの?」
「お花が―」
忠実な女官の視線の先を辿り、明姫も思わず声を上げそうになるのを辛うじて堪えた。
部屋の片隅に置いてある飾り棚―、その上の花瓶には百合と桔梗が活けられていた。昨夜、ユン自らが少し得意げに花束を抱えて訪ねてきて、そのときに贈られたものだ。物入れである棚も螺鈿作りならば、清国渡りの青磁の花瓶も精緻な文様が施されている。