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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢

 更にその見事な花瓶に負けないほど豪華な花束は、豪奢な飾り付けのされた室内を更に華麗に彩っていたのだが―。
 むろん、その花束を抱えてやって来たユンはその後、明姫と睦まじく閨を共にした。牡丹に舞う一対の蝶が描き出された螺鈿細工の飾り棚を眺めながら、ヒャンダンは
―我がお仕えする淑媛さまほど主上さま(サンガンマーマ)に愛されている女人はこの世にいない。
 とまで誇らしく思ったものだったのに。
 昨夜、ユンと寝所に入るまではあれほど生き生きと咲き誇っていた花たちが一夜明けた今は無残に散っている。しかも、大輪の純白の百合は嘘のように花びらも茶色っぽく変色していた。

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