身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第6章 第二話 【桔梗の涙】 予知夢
まるで狐を彷彿とさせるのっぺりとした面に細くつり上がった眼には、およそ感情というものが窺えない。物言いもどこまでも平坦だ。
「別に何事もないが?」
「さようにございますか。それならば、よろしうございました。先刻、洪女官さまが淑媛さまのお部屋から出ていかれる時、何か花束のようなものを抱えておられましたので、そのことと関係があるのかと」
淡々と言い、最後に掬い上げるように見上げるその目つきが何故か虫酸が走るほど嫌な感じがした。
「別に何事もないが?」
「さようにございますか。それならば、よろしうございました。先刻、洪女官さまが淑媛さまのお部屋から出ていかれる時、何か花束のようなものを抱えておられましたので、そのことと関係があるのかと」
淡々と言い、最後に掬い上げるように見上げるその目つきが何故か虫酸が走るほど嫌な感じがした。