身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
男が近づき、明姫の貌を覗き込んだ時、初めて彼が例の―二日前、庭園で出逢った男と同一人物だと気づいた。ハッと息を呑んだ明姫に、男はシッと黙っているように合図する。
「おう、この娘は確かに見憶えがある」
男は明姫を抱きかかえている両班に向かって勿体ぶった口調で告げた。
「この娘は領議政ペク・ヨンスどのの甥の許嫁だ!」
「そなた、何者なのだ?」
疑惑のまなざしを向けられても、男はたじろぎもしない。平然とした表情で
「領議政さまの甥御の友人だ。これでも武官の端くれでな」
と、嘘か本当か判らない科白を口にしている。
「おう、この娘は確かに見憶えがある」
男は明姫を抱きかかえている両班に向かって勿体ぶった口調で告げた。
「この娘は領議政ペク・ヨンスどのの甥の許嫁だ!」
「そなた、何者なのだ?」
疑惑のまなざしを向けられても、男はたじろぎもしない。平然とした表情で
「領議政さまの甥御の友人だ。これでも武官の端くれでな」
と、嘘か本当か判らない科白を口にしている。