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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

 今、その左議政は朝廷の臣下としては最高位の領議政(ヨンイジョン)にまで上り、妹は王の母、そして我が娘は現国王の正妃となっている。まさに国王の外戚として幅を効かせ、栄耀栄華を極めていた。
 父が探っていた領議政(当時は左議政)の罪について、伯母である崔尚宮は薄々は知っているらしいが、明姫に語ることはなかったし、また明姫も訊ねることはしなかった。
 今が領議政の天下である限り、これはけして口外できない。何故なら、明姫の両親もそのために殺されたのだから。それは同日同夜、父の上官である捕盗庁の長官までもが殺害されたことでも明白だった。時を同じくして、捕盗庁の長官と副官の屋敷が火事になり、しかも一族、使用人までの殆どが亡くなるなど、あまりに不自然すぎる。

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