身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
すわ喧嘩かと険悪になりかけた二つの露店はどちらも同じ小間物売りだ。店先に並べている細々とした品は似たり寄ったりで、正直、どちらも本物の玉を使っているかどうかなんて怪しいものである。
明姫と肩を並べて歩いていた男の歩みがつと止まった。
「おいおい、二人とも折角隣り合って店を出しているのだから、喧嘩は止めろ」
男はふんふんと頷きながら二つの店の露台を交互に眺め、やがて、振り返った。
「どうだ? 何か欲しいものがあれば買ってあげよう」
明姫はきょとんとし、更に烈しく首を振る。
「要りません。私は別に簪にもノリゲにも興味はないし、特に欲しいものなんて」
明姫と肩を並べて歩いていた男の歩みがつと止まった。
「おいおい、二人とも折角隣り合って店を出しているのだから、喧嘩は止めろ」
男はふんふんと頷きながら二つの店の露台を交互に眺め、やがて、振り返った。
「どうだ? 何か欲しいものがあれば買ってあげよう」
明姫はきょとんとし、更に烈しく首を振る。
「要りません。私は別に簪にもノリゲにも興味はないし、特に欲しいものなんて」