身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い
明姫は手にした簪とノリゲを見つめた。小さな花を象った銀細工の簪は、花の部分が透明な青紫色の玉でできている。今、男が纏っている浅黄色を少し淡くしたような透き通った蒼色は、まるで都の夜明けの空を思わせた。小さな花は可憐で、桜草に形が似ている。
ノリゲはまるでお揃いでしつらえたように、小さな花が何個か集まっていて、その下に白と淡い蒼をグラデーションに染めた長い房がついている。花の部分は店の主人たちが言っていた灰簾石という玉なのだろう。確かに珍しい聞いたことのない石の名前だ。
「素敵」
思わず本音が呟きとなって洩れてしまったのを、傍らにいた男が聞き逃さないはずはない。
ノリゲはまるでお揃いでしつらえたように、小さな花が何個か集まっていて、その下に白と淡い蒼をグラデーションに染めた長い房がついている。花の部分は店の主人たちが言っていた灰簾石という玉なのだろう。確かに珍しい聞いたことのない石の名前だ。
「素敵」
思わず本音が呟きとなって洩れてしまったのを、傍らにいた男が聞き逃さないはずはない。