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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第1章 第一話 【桜草】 桜草の出逢い 

「そうか? 気に入ってくれたか?」
 男が屈託ない笑みを浮かべ、明姫を見ている。
「この花の色と形をひとめ見て、そなたにぴったりだと思ったのだ。まるでこの国の夜明けの空を思わせるような、清々しい明けの空の色が潔くて凜とした、そなたの印象にぴったりだと」
 眼と眼がぶつかり、明姫は慌てて視線を逸らした。何故か、初めて出逢ったときから、この男にじいっと見つめられると、落ち着かなくなる。
「そなたが気に入ってくれたのなら、良かった」
 男は満足した面持ちで頷いた。明姫は思わず口にしていた。

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