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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

 確かに曺昭容が四日目にやっと出産を終えたときには、ユンも心から安堵した。産気づいてからずっと産殿に駆けつけて朗報を待っていたのに、なかなか知らせは届かず、気を揉んだのだ。
 たった一度の交わりで曺昭容が懐妊したと聞いたときは、本当か? と信じられない想いであったが、世の中には往々として、そのようなこともあると知った。しかも曺昭容は初めて男を受け容れたその夜だった。
 愛してはいないが、たった一度きりで身籠もったとあれば、やはり浅からぬ縁であったのかもしれない。そう思い、また二十一歳で初めて父となると思えば、やはり嬉しかった。

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