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身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】

第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス) 

 明姫は、中殿さまを畏れ多くも毒殺しようとした大罪人ということになっている。そのような大罪人を他の者と一緒にしては、また何の悪巧みをするか知れずと警戒されたらしい。
 ご丁寧に明姫が連れてこられる前に、他の囚人たちは別棟の牢に移したのだ。それを知った時、明姫は嗤った。
 自分が王妃を毒殺しようとしたと皆が本気で信じているのがおかしかった。自分のことを周囲がどう呼んでいるかは知っている。
―国王殿下を色香で籠絡した女狐、妖婦。
 それはユンがあまりにも明姫一人に溺れ、熱愛しているからではあった。

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