
身代わりの王妃~おさな妻~続・後宮悲歌【후궁 비가】
第10章 第二話 【桔梗の涙】 切ない口づけ(キス)
「どうして、こんなに弱ったのだ? 食事は食べているのか」
「はい、私は食欲旺盛なのだけが取り柄ですから」
明姫は義禁府に来る前と同じ科白を繰り返した。しかし、ユンは見てしまった。
彼女の今、座り込んでいる傍らに、小さな丸盆が放置されているのを。盆の上の小さな碗には殆ど食べていない粗末な粥が載っていた。
「嘘を言うな。そなたはここに来てから、まともに食べていないはずだ。だから、こんなに歩けないほどに弱ったのだ」
ユンは呟くと、洟を啜った。
「はい、私は食欲旺盛なのだけが取り柄ですから」
明姫は義禁府に来る前と同じ科白を繰り返した。しかし、ユンは見てしまった。
彼女の今、座り込んでいる傍らに、小さな丸盆が放置されているのを。盆の上の小さな碗には殆ど食べていない粗末な粥が載っていた。
「嘘を言うな。そなたはここに来てから、まともに食べていないはずだ。だから、こんなに歩けないほどに弱ったのだ」
ユンは呟くと、洟を啜った。
